日本企業の働き方とワークプレイスの方向性~テナント目線、オーナー目線~

ザイマックス不動産総合研究所 石崎
ワークプレイス需要にみられる変化

コロナ禍でニューヨークのミッドタウンや西海岸はにぎわいを見せていた中心街から人やオフィスが離れてしまったと話題になりましたが、日本については、そのような状況とは関係ないかなと思います。

先日、イギリスのロンドンでテレワークの現状を知る機会があったのですが、出社率が50%から60%ということで日本と大きな差はなかったので、海外では極端にテレワーク寄りの企業が取り上げられすぎているのではないかと思いました。
   やはり世界の状況を見ても、皆さんの関心がオフィスの出社と出社による付加価値をどのようにつけていくか、企業の生産活動をすすめていくかという視点が、我々の業界としてもどれだけの需要があるのかといったところに関心が高まってきているのではと思います。

ハイブリッドワークの環境でオフィスに出社したときに快適に働けるのかどうかはICT、IWMSなどのテクノロジーを上手く活用できるかだと思います。
   働くことの快適性を向上させる取り組みは先端的な企業が今後も先行すると思われますが、ビル管理側が省エネの観点から空調や照明をコントロールが行なえる専用アプリの提供が始まっています。その傾向は今後増えるのではないかと思っています。
   テナント企業がアプリを使う前は関心がなかったようですが、使い始めると導入がスムーズのようでニーズが高まってくるのではと思っています。今年からそういった可視化するサービスの供給がますます進むことで、需要を牽引していく年になるのではないかと思っています。

ワークプレイス需要にみられる変化 在宅+サテライトオフィスの選択肢

株式会社ザイマックス不動産総合研究所
https://soken.xymax.co.jp/

ワークプレイスの需要から見て取れる変化として在宅勤務の減少・出社率の増加をあげましたが、サテライトオフィスの整備と利用も伸びているようです。先に述べました通り、ビルオーナーの意識に変化が生じたことで共有ワークプレイスの環境整備がすすめられています。サテライトオフィス導入傾向はこの一端を担っています。
   在宅ワークは40%程度に抑えられてきましたが、サテライトオフィス導入率は30%を超えています。今後も現状の推移を保ったまま定着していくのではと感じています。

自宅や外出先付近で効率よく快適なオフィスを一時的に利用できる場所として、サテライトオフィスが定着しています。自社のメインオフィスだけでは提供できない部分を、サテライトオフィスとしてザイマックスグループが運営している「ZXY(ジザイ)」をご活用いただくお客様がいらっしゃいます。
   オフィス環境が変わる中で利用可能な会議室が減り、オンライン会議があたり前になったことで、オープンスペースでは周囲の雑音が気になることや、オフィスの中では一対一のオンライン会議や商談がしづらいなど既存のオフィス環境では制約を受ける状況があります。

そのような状況を回避する目的として、オフィスや外出先の近くで利用されるケースが定着しています。東京都心に限らず大阪、名古屋などの地方都市でもメインオフィスから2,3分歩くと、近隣のビルに「ZXY(ジザイ)」があるからミーティングの用途で使うなど、そういう受け皿でご利用いただく機会があります。

特にコロナをきっかけに一人用の会議室のニーズが出現しました。課題としては、予約したままキャンセルされないことでオフィスが使用されない(ノーショー)懸念があります。予約システムなどの運用レベルをあげることで利用側と運用側の効率化が欠かせなくなるのではと思っています。

そのほか、入退室、空調や照明などの専用アプリ化などから利用者の利便性を向上させていく方向性もあります。

IWMSの可能性・期待すること

オーナー企業が会議室の予約システム含めて独自のシステムを用意するのではなく、スペースの利用者がいろいろなアプリを選択できるサービスが考えられるのかもしれません。ただそれらの付加価値に対する賃料値上げに反映できるかというと、まだそうはなっていないのが現状です。使い始めたら「これはいいね」という反響が出て、将来的に差別化につながるにはもう少し段階を踏む必要があるように感じます。

日本の企業はオフィスをコストとしてみる意識が根付いています。一方、経営目線で人的資本経営としてオフィスを考えよう、という投資としてとらえる意識は芽生えているのかなと思います。
   従来は、在籍人数にあわせてオフィス面積を考えればよかった時代が終わり、人が快適に働き生産性をあげるための働く場を総合的に運用していく時代になってきました。そこにどういった投資が必要かをビルオーナー側もテナント企業側も考えていく必要があると思います。

*1 ABW:Activity Based Working

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著者プロフィール

ザイマックス不動産総合研究所 石崎真弓 様

石崎   真弓(いしざき   まゆみ)

株式会社ザイマックス不動産総合研究所   主任研究員として、不動産(オフィスマーケット)ワークプレイスの調査・研究に従事。

リクルート入社後、リクルートビルマネジメント(RBM)にてオフィスビルの運営管理や海外投資家物件のPM(プロジェクトマネジャー) などに従事。
2000年RBMがザイマックスとして独立後、現在のザイマックス不動産総合研究所に至るまで、オフィスマーケットの調査分析、研究に従事。
近年は、働き方と働く場のテーマに関するさまざまな調査研究、情報発信。

Planonの取り組み

健康的な職場環境の実現

オランダのPlanon本社ビルでは1100名の社員が所属しており、オランダでもまだ数少ないWell認証のプラチナを取得しています。
週に何日か在宅ワークで働いていますが、それでもPlanonは社員に対する快適なオフィスワークの提供が必要だと考えています。社員の健康の向上に、ゲーミフィケーションのアイデアも取り入れています。
   例えば、ジムを使用するときにチェックインするとこれがチケットになり、食堂でサラダを無料でもらうことができます。階段を使う社員の数をセンサーでカウントし、60%パーセントの使用率を超えると金曜日の午後にフリカンデルというオランダ固有のスナックが提供され、 Planonに搭載している様々なソリューションが、仲間と協力してコミュニケーションの場を繋げ「文脈」を形成しています。

地球環境への配慮

Planonではリノベーションの手段を選んでいます。毎年5%、カーボンフットプリントを減らすことをターゲットにしています。
オランダではおもに、エネルギー使用量を暖房に費やします。Planonではガスを一切使わずオール電化ヒートポンプによる空調を使用し、屋上では12万kw/時の太陽光発電を設置しています。換気扇はCO2センサーや利用者をカウントするオキュパンシーセンサーを使い、必要以上の換気を行わずエネルギーの削減に努めています。

インスパイアされるオフィス

Planonでは従業員同士がインスパイアしてパフォーマンスを高めようという考え方を取り入れています。
ジュードボールというゲームをする場所、あるいは家庭菜園や世界各地から植物を集めたグリーンハウスになっている食堂もあります。 金曜日の午後には食堂の一画をビーチバーとして利用し、メンバーと一緒に飲食を楽しむスペースとして活用しています。

コネクトインのアイデア

Planonでは従業員、お客様、パートナー、学生、スタートアップ企業、それらを繋げるアイデアを、オフィスの中に取り入れています。
オフィスの中にイノベーションラボを作り、ハイブリッドワークの中でも特にコミュニケーションするということを中心にしたオフィス作りにを取り組んでいます。
   もちろん、これらのコミュニケーションスペースは前述のインスパイアする場所も含めて、予約できるようにしてします。ハイブリッドワーク下においても、あえてそこに集まろうという行動を誘発しています。

製品紹介

Planon IWMS

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豊富な標準データモデルから選択
ノーコーディングで機能構成
維持管理・運営コストの削減

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