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富国生命保険相互会社 様

富国生命保険相互会社 様

「FM-Refine」の導入で複数建物の施設コストを効率的に把握!

富国生命保険相互会社様は、個人と団体向けに保険商品の販売・保全サービスを手掛け、全国に建物を所有しています。 その建物資産の安定運用を支える不動産部の松永様・井上様に、長期修繕計画システム「FM-Refine」の導入についてのお話しをお伺いました。

■不動産部不動産建築グループについて

 フコク生命(富国生命保険相互会社)は、6兆5,000億円を越える総資産を保有しています。不動産部は、自社使用物件や投資物件の建物や土地の資産運用、保全業務などを担当しています。その中でも不動産建築グループは、200棟を越える建物の維持管理を手掛け、主に建物改修工事やテナント入替工事、設備機器の更新、さらに大規模改修工事まで手掛けています。また新築工事のマネジメントなども行います。特に心がけていることは、建物を長期間保有し安定運用することです。建物を的確にメンテナンスすることによって長寿命化を目指し、その資産からの収益が安定的に得られる運用を目標としています。
 また、本社ビルである富国生命ビルは、東京の日比谷地区初の超高層ビルとして1980年に竣工しました。竣工後36年目を超えた2016年から2021年(予定)までの6年間、事務所フロアの大規模改修を行っています。この工事監理も不動産建築グループが担当しています。

 

■「FM-Refine」導入の経緯

「FM-Refine」の選定理由

 自社使用物件や投資物件の建物の維持管理には、長期修繕の的確な実施が重要です。数棟の建物であれば人力やExcelを利用しての長期修繕の計画・管理は可能ですが、200棟の管理となると難しくなります。
 当初はExcelのマクロプログラムを利用して管理していましたが、担当者が変わるとプログラムの管理が難しくなることや、専用のシステムを開発すると費用もかさむことから、市販のパッケージプログラムを探していました。
 ちょうどその頃、FMシステム社が「FM-Refine」の初代バージョンを開発し、販売し始めたところでした。「FM-Refine」のデモンストレーションや開発仕様のプレゼンテーションを聞くと、当社のニーズである下記の要件に対応したものでしたので、実際の導入に至りました。

 

■複数の建物群の長期修繕計画を実現

不動産建築グループの松永様(右)と井上様(左)

 不動産建築グループには現在9名の担当者がいます。毎年ある時期に、前年度に発生した工事実績情報を利用して単価データを更新し、「FM-Refine」のデータを常に最新の状態にしています。
 当社では、建物の長期修繕計画設定期間を竣工後60年までとしているため、59年までの長期修繕コストを毎年算出します。次年度以降に発生する長期修繕コストを把握することで、予算の作成や中期の計画を立て、分析します。
 「FM-Refine」でシミュレーションした情報を元に、建物の今後の維持管理の方向性を探る事になります。結果によっては、ある年度に集中する工事費用を前後の年度に分散させたりします。
 また、「FM-Refine」でシミュレーションした社有物件の長期修繕計画コスト情報を長期修繕計画分析報告書として毎年作成しています。これは、社内の情報共有材料のひとつになっています。

 

■建物管理にも利用し、修繕コストの比較に活用

 そのほか、「FM-Refine」を、建物のデータ管理にも活用しています。管理する建物の属性項目の内容や順番を自由に設定できる機能を利用し、基本的な情報以外に大規模な設備機器の有無などを入力し管理しています。
 これらの情報を利用することで、ある特定の設備機器が存在する建物を簡単に検索できますし、その検索結果を利用して設備機器の有無による長期修繕コストを比較することもできます。

▲ FM-Refineの管理情報を元に作成した報告書例(工事費合計) ▲ FM-Refineの管理情報を元に作成した報告書例(建物別工事費)

 

■自社情報から長期修繕計画コストの単価作成

 「FM-Refine」のシミュレーションに必要な長期修繕計画のための単価情報は自社の情報です。具体的には、新築時の契約見積を元にした単価をベースにしています。途中で改修工事などが発生すると、その工事情報を元に単価を更新します。自社の実物件を利用していますので、建物の存在地域による単価の違いなども加味しています。
 また、数量についても契約時の数量を元に単価を算出しているため、改修工事で数量が変わった場合などでも問題無く単価情報を利用することができます。
 「FM-Refine」で利用する単価は時間と共に変わっていきます。新築時の単価との差が出てくるのは当然なので、単価に関しても適切なメンテナンスを行うことが必要です。

 

■長期修繕計画シミュレーションのクロス集計・分析

 以前、Excelのマクロプログラムを利用していた時と比べ「FM-Refine」導入後、クロス集計作業が容易になったことは大きな効果でした。建築の部位別や設備機器の有無で集計・分析することや、複数物件をまとめて分析すること、さらにグラフ化することも可能ですので、建物の維持管理業務を支援する強力なツールになっています。
 当社は、次年度予算を確保するために、毎年夏から秋にかけて長期修繕計画を分析し報告書にしています。日々発生する工事情報の的確な管理・把握により、未来の支出シミュレーションができあがります。これらのシミュレーション結果は精緻な数字ではありませんが、それでも将来の建物維持管理に必要な支出シミュレーションとしては充分な結果です。

 

■今後の展開

 当社では収益分析ソフトウェアを利用して物件を管理しています。今後、このソフトウェアと「FM-Refine」のデータをやり取りできるようにしたいと考えています。
 これにより、建物物件の管理から将来収益の予測にもつなげられますので、当社の本業である資産の長期安定運用にも寄与できる事になります。
 また、報告書が簡単に作成できるような仕組みを現在模索中です。「FM-Refine」で作れるようになることを期待します。