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山梨県 県土整備部 様

山梨県 県土整備部 様

発注工事や入札で使用する図面・資料の制作効率化のために、「Croscope(クロスコープ)」を活用

山梨県の県土整備部様は、山梨県内の土木系と建築系のインフラストラクチャー管理を所管とする組織です。「Croscope」を公共工事などに必要な図面や資料に発注内容の記述や写真を追加するツールとして活用されています。 日々のインフラ整備業務で実際に活用されている方々にお話しをお伺いしました。

■県土整備部について

 山梨県の県土整備部は、県内の道路や治水、砂防、都市計画、下水道、建築住宅の営繕も含めた公共的な社会基盤が管理対象です。技術職の職員が多くを占めるという専門的な組織で、山梨県のインフラを見守ります。

 

■「Croscope」導入の経緯

▲ 「Croscope」の導入前と導入後の作業手順比較

 山梨県では、平成11年から設計図書の電子化がスタートしています。平成16年には、県内で発注するすべての公共工事の発注図面を電子化し、さらに平成17年には、電子入札制度もスタートしました。この時期に設計図書の電子データの作成手順も整備し、県内土木行政における運用も始めています。
 この電子化行政への移行に伴い、平成11年に画像表示編集ソフトウェア「まいらす太」を導入しました。
 当時、県土整備部が「まいらす太」で加筆・修正した入札用図面を配布して、県内の企業が画像表示ソフトウェア「まいびゅーあ」でその図面を表示・確認・印刷して応札する運用を行っていました。
 その後、平成23年に「まいびゅーあ」がサポート終了となり、後継製品として機能改良が加わりPDFの表示・印刷・変換にも対応した新製品「Croscope」がリリースされたのを機に、従来利用していた製品から切り替えました。
 「Croscope」への切り替えで決め手となったのは、作業手順が効率化できる事です。それまではTIFFデータに加筆・修正したものを一度保存し、その後PDFに変換していました。しかし「Croscope」の場合は、ひとつのソフトウェアでTIFFデータへの加筆・修正・PDFの保存・表示ができる点を評価しました。これで、TIFF図面に指示内容を追記し入札時の資料としてPDF配布する事も簡単になりました。
 現在は、県土整備部全体で「Croscope」を標準ソフトウェアとして利用しています。

 

■「Croscope」の効果

 「Croscope」を使うメリットは、とにかく操作が簡単な事です。CADより使いやすいため、事務職員や役職のある技術職員も活用しています。頻繁に扱う大判サイズのTIFF図面など、大きな画像データに図形や写真を書き込む場合でも「Croscope」が便利です。
 図面に対する指示の書き込みに多様な表現ができる点も高く評価しています。例えば、着色して工事範囲を示す場合など、下図となる図面が見づらくならないように透過の設定を加えることで薄く透けた図形の作図ができます。また、図形や文字などを自由に配置して、好きな角度に回転をかけられる点も使い勝手が良いです。
 そして、TIFF図面を表示してPDFに変換する際も、数回のクリックで簡単に変換できる点は好評です。TIFFからPDFへの変換の互換性も優れている製品だと思います。複数のTIFFファイルを一度にPDF変換したり、連続印刷したりする事もできるので、これまでの作業と比べて部内業務の効率化につながっています。

 

■「Croscope」の活用方法:発注図作成

 日常業務で最も多用するのは工事発注図の作成です。工事に必要な図面はCADデータを元に設計していますが、入札時に外部の企業にCADデータをそのまま配布する事はできません。そこで、CADから出力した工事箇所の平面図や正面図などのモノクロTIFF図面に、発注対象となる工事箇所や仕様、寸法などの詳細な情報を朱書きして分かりやすく表現した図面を作り、それをPDFに変換したファイルを作成して電子入札時に配布しています。
 以前はTIFF図面に工事内容を書き込みTIFFデータのままで配布していましたが、TIFFの画像表示ソフトウェアがサポート終了となったことと、データ容量が大きくなる点や改ざんの可能性がある点などの理由から、平成23年からPDFに変換して配布することにしています。

 

▲ 現況写真の撮影位置と画像を配置した平面図&道路工事図面に改良工事箇所を指示書きした図面&砂防設計用の正面図に施工範囲を記した図面

 

■「Croscope」の活用方法:説明用資料作成

 その他の活用方法として、工事に関する外部説明用の資料や部内説明用資料の作成にも、「Croscope」を活用します。これは、工事箇所の図面に現場の写真や他の図面を貼り込んで、より理解しやすい資料にまとめあげる際に有効な方法です。
 このような資料作りにも、下図となる図面に他のTIFFデータや写真のデジタル画像を簡単に配置して合成できるので、とても便利です。また、部内の本課と事務所間の図面のやりとりにも使っています。
 出先機関の建設事務所などでは、管轄の担当範囲を記した工事箇所の振り分け図面などの作成にも利用しています。下図となる工事箇所の図面に担当範囲を塗り分けて、分かりやすい資料に仕上げています。